天の川の超巨大ブラックホール
ゴールデンウィーク明け、大きなニュースが飛び込んできました。
我々の住む地球のある銀河、天の川銀河の中心部に存在する、超巨大ブラックホール いて座Aの撮影に成功したと
天の川銀河の中心ですから、地球から2万7000光年もの距離にあります。
2万7000光年というと秒速30kmの惑星探査機のスピードで向かっても、3億年近くかかる距離です。
秒速30kmというと、宮崎-福岡間を約10秒、宮崎-東京間を1分30秒で移動できる速さです。
そんな速さでも3億年。
とても離れていることが分かります。
ちなみに質量は太陽の約400万倍。
それでも超巨大ブラックホールの中では軽い方に分類されるというから驚きです。
ではどうやって観測したのか。
それは直径数千kmを超える望遠鏡性能の巨大望遠鏡を使ったからです。
数千km?
日本列島が何個も入る望遠鏡なんかあるの?と思う人もいるでしょう。
もちろんそんな巨大な物体は存在しません。
それはイベントホライズンテレスコープと呼ばれ、日本やアメリカ、ヨーロッパなどが中心となり、アメリカやヨーロッパ、チリ、ハワイ諸島に高性能の直径数十メートル以上の電波望遠鏡を置き、特定の星をそれぞれで観測します。
それぞれの望遠鏡は離れたところにありますから、星を見た時の角度や光の具合などは若干ですが異なります。
そのデータを合成し、画像化していきます。
人間で言えば右目でみた風景と左目で見た風景は少しずれたりします。
そのずれを脳で修正・合成し、立体化するのと同じです。
そう、このイベントホライズンテレスコープは地球サイズの目を持つ望遠鏡なのです。
ブラックホールは理論的に存在があるとされていた天体です。
1780年ごろにニュートン力学から存在を考えられ、1915年頃から研究され、1930年にチャンドラセカーンが理論的に導き出しました。
しかし、観測されたわけではなく、あくまでも理論的存在にすぎませんでした。
1970年代に入り、ブラックホールに吸い込まれるX線の観測により、その存在は確実視されました。
それでも直接観測はできませんでした。
撮影に成功したのは2019年。
今回と同じイベントホライズンテレスコープによるものでした。
存在が考えられてから200年以上かかりました。
ブラックホールの直接撮影はゴールではありません。
これからブラックホールの謎を解明すべく撮影・研究が進んでいくでしょう。
(広原校 山崎吉樹)
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