2015年から1年間、私は中国語を学ぶ為に台湾に留学しました。

台湾料理はとてもおいしく、世界各国から来た友人もでき、留学生活はとても楽しいものでした。

しかし不可解な事が一つありました。

それは、台湾人の日本に対する愛が他国とは比べ物にならないほどだった事です。

買い物をするとき、バス停で一緒になった人と話した時、「あなたはどこから来たの?」と聞かれ、「日本です」と答えるや否や、日本語で「こんにちは!日本行ったことあります」と言うのです。

誰もが当然のように日本語の挨拶を知っていました。

そして一番驚いた事は、友人のおじいさんのお見舞いに行った時の事、なんとそのおじいさんが流暢な日本語で話しかけてきたのです。

台湾人のおじいさんが日本語を話すことに違和感がありました。

思わず「あなたはどこで日本語を学んだのですか?」と聞いてしまいました。

今思うと自分の無知さがとても恥ずかしいのですがおじいさんは大きな声で笑って言いました。

「台湾で学んだんだよ。僕は中国語が話せないんだ。」

台湾の公用語は中国語なのに、中国語が話せない?どういう事?と私はその時思いました。

歴史の教科書を見てみると、このように書いてあります。

日清戦争後の講和会議で1895年に結ばれた下関条約で、遼東半島・台湾・澎湖諸島を日本にゆずりわたし・・・・

台湾を領有した日本は、住民の抵抗を武力でおさえ、強い権限を持つ台湾総督府を設置して、植民地支配を推し進めました。

そこから遡り、1945年第二次世界大戦で日本は敗北し、日清戦争で獲得した植民地を全て失う事になります。

その間およそ50。台湾は日本によって、植民地支配を受けていました。

この長い期間、学校教育、公用語全てにおいて日本語になり、その間に生まれた子供達は日本語で教育を受けていました。
ただし、それまで中国語を話していた台湾人にとって、いきなり日本語を話すということは容易ではありません。

そのため台湾では、「中国語」の他に「台湾語」と呼ばれる日本語と中国語を融合した文字の無い言語が家庭内で発展しました。
お見舞いに行った友人のおじいさんは、生まれた時から日本語教育を受け、家庭では台湾語で話していたと言います。

植民地支配を受けたのに、なぜ台湾人は親日なのでしょうか。

歴史の教科書には書かれていない、台湾では今の若い世代まで受け継がれる歴史があります。

その事実を知った時、私は胸が熱くなり、歴史を学ぶ大切さを思い知らされました。

是非皆さんも調べてみて下さい。

そして教科書に載っている事実の背景に関心を持って、知識を得る楽しさを知ってもらえたらと思います。

エスペダル舞