アラブの大富豪

石油の価格高騰が続いています。

日本は石油のほとんどをサウジアラビア王国やアラブ首長国連邦などの西アジアから輸入しています。

逆の立場からいうと砂漠の広がる西アジアは、その経済を大きく石油に依存しています。

アラブと言えば「アラブの大富豪」という言葉があります。

「石油王」とも言ったりします。

大きな豪邸に住み、豪華なヨットや自家用ジェット機を保有しているといった、実に羨ましい話です。

多くの国では、国民から税金を徴収して財政を賄うのですが、サウジアラビア王国では石油資源を国王が管理して、その利益を国民に分配するシステムです。

サウジアラビアの国民は医療はただ、教育も大学まで授業料はただなのです。

 

このような羨ましい国が他にもありました。

そう過去のはなしです。

太平洋の南西部、赤道の近くにナウル共和国という小さな島国があります。

バチカン市国やモナコ公国についで世界で3番目に小さい国です。

第二次世界大戦中は日本の占領地になったこともあります。

ナウルの人々はもともと漁業や農業で生計を立てていましたが、19世紀末にこの島全体がリン鉱石でできていることがわかりました。

肥料の三要素が窒素・リン酸・カリと言われるように、リン鉱石は肥料として有用でしたので、(当時はドイツの保護国でしたから、ドイツの統治下で)採掘がはじまりました。

第一次・二次大戦を経て、1968年に独立するとリン鉱石採掘の利益は国民に還元されます。

国民は医療が無償で、授業料も無償、もちろん税金も無しです。

生活費まで支給され、採掘の労働も外国人労働者を雇い国民は全く働かなくてもよかったのです。

この夢のような生活がしばらく続きますが、リン鉱石も鉱山資源で有限です。

ついに資源が枯渇したとき、ナウルの国民は働く意欲を全く失っていました。

「いかにして働かずに食っていけるか」ということです。

各国から、あの手この手で資金援助を引き出す始末です。

かつての富裕国から奈落に落ちたナウルの歴史から、アラブの大富豪は何を学ぶのでしょうか。

(広原校 戸越 勇夫)

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